パステルカラーの街並みが美しい第３の都市アビレス【アストゥリアス地方スペイン】

北スペイン、アストゥリアス州に位置するアビレスAvilés。

アストゥリアス州の都市オビエド、ヒホンに次いで大きな街アビレスは、まるで絵葉書のようなパステルカラーの街並みが美しい街。


近隣都市のオビエドからは電車で約４０分、ヒホンからは電車で約５０分と、近隣都市からの日帰り旅行も気軽に楽しめます。


アストゥリアス州第３の都市ながら、騒めきや都会的な喧騒とはかけ離れたゆったりとした空気が流れ、どこか優雅で上品な雰囲気が流れる、とことん休暇を楽しみたくなるような街。

目立った観光名所はありませんが、スペインらしいバルの並ぶ通りや美しい広場など、そこにいるだけで豊かな気持ちを味わえる穏やかな雰囲気が。


夏になると猛暑を迎えるスペインで、真夏の最高気温が２５度前後という涼しい気候のアビレスは避暑地としても人気の街。


オビエドやヒホンと合わせて訪れたい、アストゥリアス州第３の都市アビレスをご紹介します。

アストゥリアス州第３の都市アビレス

アストゥリアス州を代表する都市、オビエドやヒホンから公共交通機関で約４０〜５０分。カンタブリア海へと続く運河のほとりにあるアビレスは、かつて漁業や農業で栄えた街。

中世にはこのエリアで有数の港町として重要な役割を果たし、特にフランスとの交易で塩の売買が盛んでした。当時は特級階級と漁師などの庶民の居住地区が分かれており、現在でも特級階級の人々の遊び場だった公園が残っています。



アストゥリアス第３の都市ながら、街の規模はそれほど大きくなく丸１日あれば十分に見て回ることができますよ。

避暑地らしいのんびりとした雰囲気漂うスペイン広場

美しい市庁舎のあるスペイン広場Plaza de España。

スペインの大きな都市の市庁舎広場は、大きな長方形の広場を囲むように回廊があり飲食店が立ち並んでいる街も多いですが、アビレスでは三角形の広場にテラス席がずらりと並んでいます。

年齢層が高めの人々を良く見かけるアビレスのスペイン広場は、落ち着いていてどこか上品な雰囲気。

避暑地なのもあってか、時間がゆっくりと流れていくような独特の穏やかさがあります。

パステルカラーの街並みが美しいサン・フランシスコ通り

スペイン広場から徒歩１分の場所に位置する聖ニコラオス教会Iglesia San Nicolás de Bariの建つ通り、サン・フランシスコ通りC.San Franciscoはゆったりとしたカーブを描くパステルカラーの街並みが目を引く美しい通り。

スペインではあまり見慣れないパステルカラーの建物に沿って、青空によく映える真っ白なテラス席が並びます。

テラス席に座って陽の高いうちからお酒を片手におしゃべりを楽しむスペインらしい光景の中にも、避暑地らしいゆったりとした雰囲気を感じます。

パステルカラーの建物の美しさがその穏やかさを引き立たせ、絵葉書のような街並みの中で休暇を楽しみたい通り。

街歩きも唸る美しい通りを歩き進めると、サン・フランシスコ通りは細路地へと続いていきます。

路地に沿って並ぶバルやレストランは健在で、スペインの食に舌鼓を打ちながら午後の穏やかな時間を過ごすのも豊かな時間。

パステルカラーの建物から、２階部分が前方に迫り出した独特の造りの家々へと変わっていく街並みを楽しめます。

スペインの食とお酒を楽しむバル巡り

ゆったりとした午後のひと時に、スペインのグルメをつまみにお酒を楽しむならカルバヨ広場Plaza Carbayo周辺のバル通りへ。

真っ直ぐに伸びる道の左右にはバルやカフェ、レストランが軒を連ね、歩いているだけで心躍るような店ばかり。

テラス席に座る人々のテーブルの上に並ぶ料理やお酒を眺めながら、どの店にしようかと迷いながら歩くのも楽しい時間です。

カルバヨ広場周辺には飲食店が集まる通りが並んでいるので、ぐるぐると歩いてみるのもおすすめですよ。

高床式倉庫オレオで北スペインの文化を感じる

イベリア半島北西部で見られる高床式倉庫オレオHórreo。

アストゥリアス州の田舎ではよく見られるオレオですが、人口の多い街中に残されるように建っているのは珍しく、アストゥリアス第３の都市ながら「 都市 」というよりは 「 町 」という言葉が似合うアビレスならではの光景です。

高床式倉庫オレオは、ネズミなどのげっ歯類の生き物から穀物を守るために考え出された様式。アビレスのオレオのように木で造られているものの他、石で造られるオレオも北スペインでは多く見ることができます。


オレオの形は地域によって特徴があり、ここアストゥリアス地方では正方形に近い四角形ですが、お隣のガリシア地方では細長い長方形のオレオが典型的な形ですよ。

オレオのある広場周辺にももちろんバルが。探さずとも行く先々でバルに出会えるのはまさにスペインの都市ですね。

アビレス市場で地元の人々の生活を垣間見る

細長い電灯が特徴的な真っ白な建物に囲まれた長方形の市場、プラサ・アビレス市場Mercado de La Plaza Avilés S.A.。

写真を撮影した時は市場はすでに閉まっていたため、人影もまばら。

長方形の壁沿いにあるカフェやレストランのテラス席に座り午後のひと時を楽しむ人たちの姿が見えます。


広場の中央には屋内マーケットがあり、市場の営業中は、果物や野菜、鮮魚や精肉店をはじめ、衣類や生花など地元の人の生活に根ざしたマーケットが開かれています。



中にはカフェやバルも入っていて、地元の人の台所を目で楽しむのはもちろん、バルやカフェで休憩しながら舌で楽しむこともできますよ。

上流階級の人々の遊び場だったフェレラ公園

アビレスのスペイン広場から徒歩約６分の場所にある広大な敷地を持つ公園、フェレラ公園Parque de Ferrera。

アビレスの歴史の中で、上流階級の人々の住むエリアと、漁師など労働階級の人々の住むエリアが分かれていた時代がありました。

フェレラ公園は上流階級の人の遊び場として使われており、当時は限られた人のみが入ることのできる公園でした。


今では、無料開放されており誰でも気軽に利用できるようになっています。



公園内は整えられた芝生と木々に囲まれ、上流階級の人々がここで遊んでいた様子を容易に想像できるような美しい公園。

上品で優美なフェレラ公園は、ウディ・アレン監督の映画「 それでも恋するバルセロナ 」のワンシーンのロケ地としても知られていますよ。



観光中の休憩がてら訪れてみるのもよし、お酒と軽食を買って旅先の公園でゆったりとした時間を過ごすのもまた贅沢な時間です。

アビレス大聖堂の異名を持つカンタベリーの聖トーマス教会

１９０３年に建てられたカンタベリーの聖トーマス教会Iglesia de Santo Tomás de Canterbury。

１００年以上も昔に建てられたカンタベリーの聖トーマス教会は、全く時の経過を感じさせないエレガントな教会。

教会ではありますが、「 アビレス大聖堂 」の異名を持つほどの威厳と美しさがあります。

カルバヨ広場に１３世紀に建てられたサブゴ教会がありますが、収容人数が少ないため当時のアビレスの経済発展の象徴としての意味も込めて新しく建てられたのがこのカンタベリーの聖トーマス教会です。

ネオゴシック様式で建てられた教会の内部では、アビレスの大聖堂と呼ばれるのも納得の美しい装飾や天井、ステンドグラスを見ることができます。

アストゥリアス名物のりんご酒シードラを専門店で楽しむ

アストゥリアス地方で最も有名な名物のひとつが、りんご酒シードラSidra。

微炭酸のりんご酒でアルコール度数は３〜６％とビールと同程度。

英語ではアップルサイダーApple Cider、日本語ではシードルと呼ばれ飲んだことのある方もいらっしゃるかも知れません。


アップルサイダーに比べ、アストゥリアス地方のシードラは炭酸が弱く口当たりも滑らかで自然な味わいが引き立ちます。

アストゥリアス地方名物のシードラを最上級の美味しさで味わえるのが、シードラの専門店Sidrería Tierra Astur Avilés。

シードラの専門店はシドレリアSidreríaと呼ばれます。


アストゥリアス地方でのシードラの飲み方はとても特徴的。

すぐに酸化するシードラは、ほんの一口分、グラスに約１cmほどその都度注いで一気に飲み干します。

シードラは一度開けたら保存が効かないため、ボトルでの注文のみ。

店によっては、自分で次ぐ店やシードラを注ぐ専用の機械がある店もありますが、このシドレリアでは熟練の技を持つスタッフがその都度注いでくれます。


シードラの美味しい飲み方は、グラスから約１mほど高いところから滝のように注ぐこと。その注ぎ方で味わいや口当たりは全く変わってきますよ。

全く手元を見ずに、どこか遠くの一点を見つめながら１mの高さからコップに注ぐ技は見事の一言。

床には零れたシードラを吸収するためのおが屑が敷かれており、シドレリアの雰囲気も楽しめます。

シードラと合わせて楽しみたいのがアストゥリアス産のチーズ。

酪農が盛んなアストゥリアス地方ではチーズも有名な名物のひとつ。

特に写真左下のブルーチーズ、カブレラスチーズQueso cabralesはアストゥリアス地方を代表するチーズのひとつです。

青カビ独特の風味が絶妙でチーズ好きにはたまらない一品ですよ。

オビエド・ヒホンからのアビレスへの行き方

オビエドからは電車で約４０分、ヒホンからは電車で約５０分でアクセスできます。

どちらの都市からも電車一本で気軽に行くことができるので、オビエドやヒホンからの日帰り観光もおすすめですよ。

オビエドからアビレスへの行き方

オビエド駅からアビレス駅へは「 C３」線にてアクセスできます。

C３線は３０分間隔で運行しています。

ヒホンからアビレスへの行き方

オビエド駅からアビレス駅へは「 C４」線にてアクセスできます。

C４線は３０分間隔で運行しています。

美しい景色の中で穏やかな休暇を過ごせる街アビレス

北スペインの避暑地として人気のアビレスは美しい街並みの中でゆったりとした時間の流れを楽しみながら休暇を過ごすのにぴったりの街。

アストゥリアス第３の都市でありながら、ローカルな雰囲気も持ち合わせている穏やかな街です。


スペインのグルメやアストゥリアス州名物のシードラを楽しみながら、心地よい時を過ごしてみては？

アビレス観光マップ

上記GoogleMapのアイコンをクリックすると、本記事でご紹介した観光スポットの位置をご確認いただけます。