ヒターノの洞窟住居が残る村グアディクス【アンダルシア地方スペイン】
本記事では、スペイン、アンダルシア地方にあるヒターノの洞窟住居がある村グアディクスをご紹介します。
スペイン、アンダルシア地方に位置するグアディクスは、アルハンブラ宮殿で有名なグラナダから約40kmほど東にある小さな村。
スペインではヒターノと呼ばれるジプシーたちが何世代にも渡って暮らしていた2000以上もの洞窟住居が残っている地として知られています。
現在では、岩肌に穴を空けた伝統的な洞窟住居に住む人々はごく少数ではあるものの、そのいつくかには未だ人が住み、同時に住居らしい形をした現代的な洞窟住居が並ぶ風景を見ることができます。
ヒターノの洞窟住居の村グアディクス
ヒターノの洞窟住居が残る村グアディクスGuadix。
レコンキスタ以前から現在までヒターノの人々が住んでいる都市グラナダから約40kmほど東に位置する小さな村です。
グラナダにもヒターノのコミューンがありますが、現在では元々居住スペースであった洞窟のタブラオで本場のフラメンコを楽しめたりと新しい時代に生きているグラナダに比べ、グアディクスは村と呼ぶにふさわしい風景が広がっています。
明らかに住居の形をしている家らしい洞窟住居はもちろん、遠くの岩場にはくり抜いたことがはっきりとわかる、ぽかりと穴を開けた原始的な洞窟住居も簡単に目にすることができます。
現在の洞窟住居の村はグアディクスの市街地の端っこに存在し、人里離れた荒野の岩場にある伝統的な洞窟住居のある地帯とちょうど境目にあります。
洞窟住居は最盛期には2000以上もの数があり、社会から距離を置いた生活をしている人々のコミューンがあったことがわかります。
現在では伝統的な洞窟住居に住む人々は減少し、ほとんどの人はその生活から離れています。
洞窟住居に住む人の中には、ヒターノの人々ばかりではなく、ヒッピーや現代社会の生活とは違った生き方を好む人々もその生活を選択しています。
2000の洞窟住居が残る村グアディクス
グアディクスの村を訪れると、目に飛び込んでくるのはアンダルシア地方らしい白くペイントされた家々と、どこかの惑星を思わせる無骨な岩場。
原始的な大自然を感じる、優美な美しさとはまた違った魅了されるような風景が広がっています。
白くペイントされた家々もまごうことなき洞窟住居。
そして村の奥には茶色い砂岩や凝灰岩がそびえ、もともとはその斜面に穴を掘り、光の入らない洞窟で暮らしていました。
岩肌に掘られた洞窟は大きくぽかりと穴が空いていて、遠目でもいくつもの洞窟住居があるのを見ることができます。
岩に掘られた洞窟住居の数は2000を越え、代々その洞窟を受け継ぎながら暮らしていました。
以前はどの洞窟住居も埋まっていたそうですが、現在では空っぽの洞窟住居が目立ちます。
急斜面に穴を掘った洞窟住居で社会から距離を置いた洞窟生活をする人が減った変わりに、より緩やかな斜面で家らしく美しく整えられた洞窟住居に住む人々が多くなっていったそう。
家の軒先には植木鉢に植えられた植物や可愛らしい小物が並び、他の家々と何ら変わらない外見をしています。
短い滞在では、現代的な洞窟住居に住む方々がヒターノなのか、そうではないのか知ることはできませんでしたが地をくり抜いて作った住居であることは間違いありません。
グアディクスの村を歩いていると気になるのは地面に生えている白く長細い物体。
これは洞窟住居の煙突で、この地面の下は誰かの家になっています。
こんもりと小さな丘のようになっている部分にいつくもの煙突が生え、人様の家の屋根というべき地面を歩いているのは不思議な感覚です。
洞窟住居にはガスや電気も通っていて、バスルームやキッチンも完備。中は広く、洞窟の中であること以外、一般的な家の中と同じ暮らしがあります。
現代的な洞窟住居には、通常の家と同じように四角い外壁と煉瓦屋根が見られ、もともとのくり抜いた洞窟住居を増築している家も見られます。
現代的な洞窟住居は代々受け継がれながら住んでいる家も多い中、今では普通の家と同じように売買したりと不動産としての価値も付いています。
観光客が容易に訪れことができる洞窟住居地区から、さほど遠くない場所にそびえる無骨で大きな岩々には村からでも無数の大きな穴を見ることができます。
その数は数えきれないほど多く、洞穴のような見た目の住居に人々の暮らしやコミュニティーがあったことが窺えます。
グアディクスの市内は洞窟住居の村から降りるとごく普通の現代の街が広がっています。
洞窟住居のある村は、市内の端っこに位置していて一般の人々が住むことがない岩だらけの荒野が広がるエリアとの境目にあります。
この洞窟住居の村も現代に近い時に作られ、もともとはまさに人里離れたという言葉がふさわしい、社会とは距離を置いた地帯に住んでいたことがよくわかる光景です。
グアディクスの気候は夏は猛暑、冬は極寒という寒暖差の激しい地域。
洞窟の中は、一年を通して気温が安定していて、夏は涼しく冬は暖かく、この土地で暮らすには最適な環境です。
ヒターノの人々はその歴史から自ら進んで洞窟暮らしを選んだのではないでしょうが、この地域に住む上で洞窟の中に住むことは自然の寒暖差から身を守る適した環境であることは間違いありません。
この土地の特徴と、歴史が生んだ風景は忘れ難い不思議な光景です。
グアディクスでは洞窟住居に宿泊できる
現代的な洞窟住居の中には、宿泊施設として開放されている家もあります。
私も今回の滞在で洞窟住居に宿泊しました。
訪れたのは11月でダウンを着ても寒さを感じる季節ですが、一歩洞窟住居の中に入ってみると暖房なしでも暖かなのがはっきりとわかります。
家の中は見た目からは想像ができないほど思いの外広く、2ベッドルームに、広いバスルームがあります。
玄関のドアを開けるとリビングルームになっていてキッチンも付いていますよ。
実際に泊まってみると、洞窟住居の中は良い意味で一般的でした。
違いを上げるとしたら太陽光が入らないことと、天井が低いこと。そして、壁がゴツゴツしていていること。
オーナーのマリアさんはとてもフレンドリーで内装もとても可愛らしく温かみのある部屋。
グアディクスの駅に着いた時、駅からの足がなく電話してみたところタクシーを手配してくれたりととても親切な方でした。
グアディクスならでは洞窟住居は大変満足のいく夜を過ごすことができますよ。
この宿泊施設の隣には、ヒターノと洞窟住居に関する博物館に関する博物館もあるので訪れてみるのもおすすめです。
Cuevas de María
- 清潔で綺麗な室内
- 洞窟住居を体験できる
- グアディクスの村の中心地
グアディクス洞窟住居周辺の飲食店
洞窟住居の村に飲食店は少なく、村に2軒しかないようです。
- Bar la Granja
- Bar Perlas オフシーズンは休業
店名をクリックするとGoogleMapで位置をご確認いただけます。
私が訪れた時は、1軒しか営業していなかったので、ランチも夕食もまた同じ場所でいただきました。
グラナダに近いグアディクスでは、グラナダ同様ワンドリンクオーダーすると無料でタパがついてきます。
バスターミナルなどのある市街地まで降りると多くの飲食店があり、洞窟住居のある村からは約1.5km徒歩で約20分ほどの距離です。
グラナダからグアディクスへの行き方
バス | |
---|---|
料金 | 6ユーロ |
所要時間 | 45分 |
1日の便数 | 9便 |
チケット予約 | 予約はこちら |
グラナダからグアディクスへはバスでアクセスすることができます。
グアディクスのバス停から洞窟住居の村までは約1.7km、徒歩で約25分の距離です。
洞窟住居の村へ行く市民バスはないので、徒歩またはタクシーでの移動になります。
- ・Estación de Autobuses de Guadix
-
グアディクスのバスステーション
- ・Barrio de Cuevas
-
洞窟住居地区
地名をクリックするとGoogleMapにて位置をご確認いただけます。
鉄道駅を利用する場合
グアディクスへのアクセスはグラナダからが便利ですが、他の都市からグアディクスへ訪れる方もいらっしゃるかもしれません。
私自身もアルメリア → グアディクス → グラナダのルートで訪れました。
もし鉄道を利用する場合は、鉄道駅Estación de tren Guadixにはタクシーやバスなど交通手段となるものはないため、徒歩での移動になります。
タクシーを利用したい場合は、宿泊する宿などに電話してタクシーを手配してもらうのがおすすめですよ。
ちなみに、グラナダからも鉄道を利用することも可能ですが、洞窟住居の村までは約3.1km、徒歩で40分ほどかかるので特に鉄道を利用したい方以外は、バスでの移動がおすすめです。
洞窟住居の村は人と自然が作り出した不思議な光景だった
槍のように突き出た岩にぽかりと空いた無数の穴。
かつてヒターノの人々が人里離れて暮らしていた風景をまじまじと見ることができる場所です。
ヒターノの人々だけが住んでいた荒野と、社会的な生活を送っていた市街地との境目には現代的な洞窟住居の並ぶ村ができ観光客も容易に訪れることができます。
荒野と社会の境目から見る景色は、異様で威容な風景を望むことができます。
グアディクスは個人的に行きたくてたまらなかった土地ですが、その光景は忘れられないものとなりました。
次に来ることがあれば、もっとじっくりと味わってみたいと感じるような不思議な魅力のある場所です。
コメント