ポルトガル海岸の道ってどんなルート?6つの特徴を解説【カミーノ】

本記事では、スペイン巡礼、カミーノポルトガル海岸の道の概要を解説します。

ポルトガル海岸の道は、ポルトガルの海岸線に沿って歩きながら北上し、サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指すカミーノ。

大きな特徴は、ポルトガルとスペインの2カ国を歩くことができる巡礼路です。

全巡礼路は266kmとスペイン巡礼路の中では短いカミーノで、およそ13日間で歩くことができるため、歩きやすい巡礼路でもあります。



ポルトガル海岸の道は、急な上り坂などのアップダウンが少なく、初心者でも気軽に歩くことができるカミーノ。

2回目以降のスペイン巡礼はもちろん、初めてスペイン巡礼をする方にも歩きやすいルートです。


本記事では、実体験をもとにポルトガル海岸の道の概要をご紹介します。





【スペイン巡礼】 ポルトガル海岸の道の特徴と概要



ポルトガル海岸の道

Portugués de la Costa/Portuguese coastal way
総距離:266km
所要日数:13日間
出発地:ポルト(ポルトガル)
目的地:サンティアゴ・デ・コンポステーラ(スペイン)




ポルトガル海岸の道のスタート地点は、ポルトガルの北に位置するポルトガル第二の都市ポルトPorto。

ポルトを出発すると、ポルトガルの海岸線に沿って美しい海を眺めながら北上します。

ポルトガルとスペインの国境にあたる川をボートで渡り、スペインへ。

スペインからさらに北上しサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指します。


総距離は266km。

1日およそ20km歩くと13日で歩くことができる巡礼路ですが、何日間で歩くのかは人それぞれです。





ポルトガル海岸の道の100km地点はカミニャCaminha

スペイン巡礼では、ゴールであるサンティアゴ・デ・コンポステーラから計算して100km以上の距離を巡礼すると、「コンポステーラ」と呼ばれるスペイン巡礼をした証明書をもらうことができます。

ポルトガル海岸の道で、サンティアゴ・デ・コンポステーラから100kmの巡礼をする場合、カミニャCaminhaが100km地点の町とされています。

カミニャは、ポルトガルとスペインの国境沿いにある町で、ポルトガル海岸の道でのポルトガル国内最後の町でもあります。

距離を数字で計算すると、実際の100km地点とは誤差がありますが、公式ではカミニャが100km地点とされています。


カミニャが公式の100km地点という情報は、ポルトガル海岸の道を歩かれた読者様に教えていただきました。

現地でツーリストオフィスやカミーノ担当者の方に聞かれたそうです。

情報の掲載許可をいただいたので、シェアさせていただきます。




ポルトガル海岸の道100km地点の町






ポルトガル海岸の道はアルベルゲが充実している巡礼路

ポルトガル海岸の道は巡礼者用の宿泊施設アルベルゲが充実している巡礼路です。

ポルトガル海岸の道の総距離は266km。

平均して1日20kmほど歩くと13日間で歩くことのできる巡礼路です。


もっとゆっくり歩きたいな。1日約10kmで歩くことはできる?




1日の距離を短くして歩く場合、宿泊施設があるかどうかが大切になります。

その点、ポルトガル海岸の道はアルベルゲが充実しているので、それぞれご自身のペースで歩きやすい巡礼路です。



ポルトガル海岸の道は、平均して7〜8km毎に、長くても11〜13km以内にアルベルゲがあります。

一つだけ、スペインのビーゴVigo〜レドンデラRedondelaのステージで16kmの間アルベルゲがない区間がありますが、その区間を除いてはとても短い距離の区間でアルベルゲを簡単に見つけることができます。

アルベルゲではなく、ホテルに泊まることも視野に入れている方は、およそ5km毎に宿泊施設を見つけることができます。


1日に20〜30km歩くもよし、10kmほどで歩くもよし。

日によっても歩く距離を変えることができる、ご自身のペースで歩きやすい巡礼路です。





ポルトガル海岸の道ってどんなルート?6つの特徴を解説【カミーノ】

ポルトガル海岸の道の主な特徴は以下の6つです。


ポルトガル海岸の道の特徴
  • 海岸線を歩く
  • 自然も街も満喫できる
  • 平坦な道が多く歩きやすい
  • アルベルゲやサインが充実している
  • 出会いありの混雑なしでほどよい人口密度
  • ポルトガルとスペインの2カ国を楽しめる

ポルトガル海岸の道の大きな特徴は、どの視点から見てもとても歩きやすいルートであること。

巡礼路を示すサインや、巡礼者用の宿アルベルゲが充実しており、道に迷ったり、宿がないといった心配なく安心して歩くことができる巡礼路です。



巡礼路の大半を平坦な道を歩き、標高が上がる場合も急な上り坂はほとんどなく緩やかに登っていくため巡礼路全体を通して歩きやすいルートです。



また町や村も多く通過し、食べ物や飲み物も気軽に補給することができます。

カミーノ経験者はもちろん、はじめてスペイン巡礼をする方にもおすすめな巡礼路です。



私自身、ポルトガル海岸の道がはじめてのカミーノでした。

それまでロングトレイルの経験は全くありませんでしたが、楽しんで歩くことができ、もっとカミーノしたいと感じるきっかけになった巡礼路です。





①ポルトガルとスペインの2カ国を一度に楽しめる

ポルトガル海岸の道の最大の特徴はポルトガルとスペイン二つの国を楽しめること。

主要な8つのスペイン巡礼路の中でも、ポルトガルとスペインを一度に楽しめるのは、ポルトガルの道と、このポルトガル海岸の道だけ。


ポルトガル海岸の道はポルトガル第二の都市ポルトから始まり、ポルトガルを北上しながら、スペインの北西にあるサンティアゴ・デ・コンポステーラが位置するガリシア州を歩きます。


ポルトガル北部のノルテ地方と、スペイン北西部のガリシア地方を楽しむことができます。


ポルトガルでしか見ることのない風景や街並み、建築様式を楽しみ、スペインに入ると言葉や文化も変わり風景や建物もスペインならではのものに変わっていきます。


ポルトガルからスペインへは小さなボートに乗って川を渡る冒険感たっぷりの国境超え。


景色や言葉、食文化や物価、2つの国のさまざまな違いを楽しめるのもポルトガル海岸の道の面白さのひとつです。





②大西洋に沿って海岸線を歩く

もうひとつ、ポルトガル海岸の道の大きな特徴は、巡礼路の多くの区間を大西洋の海岸に沿って歩くこと。

「ポルトガル海岸の道」の名のとおり、巡礼路の多くを海を眺めながら歩くことができます。


主要な全11のスペイン巡礼のルートの中でも、海を眺めながら海岸線に沿って歩くのは北の道とポルトガル海岸の道だけ。



特にポルトガルではほとんどの区間を海岸線に沿って歩きます。

日中の大西洋の美しさはもちろん、夕暮れには太平洋の水平線にオレンジ色に染まった太陽が沈んでいきます。


毎日、大西洋の海岸線に沈む夕日を眺めながら1日を終えることができるとても美しい巡礼路で、海好きにはたまらないカミーノです。





③平坦な道が多く歩きやすい

ポルトガル海岸の道は比較的アップダウンが少なく初心者でも歩きやすい道。

平坦な道を歩く区間が多く、ロングトレイルに慣れていない方でも歩きやすい巡礼路です。

実際に私はポルトガル海岸の道が初めてのスペイン巡礼でした。それまで長い距離やバックパックを背負って歩くことはおろか、スポーツも全くしていませんでしたが楽しく歩くことができましたよ。


もちろん、標高が上がるステージや上り坂が続く場面、1日に3度アップダウンがあるステージもあり、平坦な道ばかりではありませんが、他の巡礼路に比べ高低差も少なく緩やかに登ることが多い巡礼路です。



④アルベルゲやモホンが充実している

ポルトガル海岸の道はアルベルゲとモホンが終始充実しています。

モホンと呼ばれるサンティアゴ・デ・コンポステーラまでの距離やルート示す石碑や、道順を示す黄色い矢印は、巡礼路全体を通して十分にあり道に迷うことはありません。

巡礼者用の宿アルベルゲも巡礼路全体を通して充実していて、アルベルゲの数が足りないといったことで困ったことはありません。

各ステージごと、またほどよい区間ごとにアルベルゲがあるので、長い区間アルベルゲがないといったこともありません。





⑤自然も街も満喫できる

ポルトガル海岸の道は全266kmと距離は短めのわりに、大きな街が多い巡礼路です。

スペインではガリシア州最大都市のビーゴVigoをはじめ、パラドールのある美しい港町バイオナBaionaなどを通ります。

ポルトガルではカジノもあるリゾート地ポボア・デ・バルジンPovoa de Varzimなどを通ります。



また各ステージのどこかで必ず大なり小なりの町や村があるので食料や水の心配なく歩けます。

他の巡礼路は町や村がない区間が続くことも少なくないので、この点もポルトガル海岸の道が気軽に歩ける巡礼路である理由のひとつですね。


もちろん、美しい海岸をはじめ山や自然の中を歩くことも多く、自然と町のバランスがとれている巡礼路です。




⑥出会いありの混雑なしでほどよい人口密度

ポルトガル海岸の道は、巡礼者も多くたくさんの人との出会いが期待できます。

とはいえ、最もメジャーであるフランス人の道のように、アルベルゲが混雑したり巡礼者が多すぎるといった印象を持つことはなく、とても程よい巡礼者の数です。


あまり人が多すぎるのは好みじゃないけど、少なすぎるのも寂しいという方には、ちょうど良い感じだと思います。




【ポルトガル海岸の道】天気と気温、雨の頻度は?

私がポルトガル海岸の道を歩いたのは9月後半でしたので、そのシーズンの体験をもとに解説します。



ポルトガル海岸の道|9月後半の雨の頻度

私がポルトガル海岸を歩いたのは2019年の9月後半の13日間。

巡礼中3分の1ほどが雨といった印象でした。


とはいえ、一日中雨が降り続けているということはほとんどなく、ゲリラ豪雨のようにいきなり降ってピタッと止むこともあれば、2〜3時間強めの雨が降ったりしました。



ポルトガル海岸の道|9月後半の天気と気温

晴れの日は、一日中照りつけるような晴天で日差しも強く暑さも感じます。


とはいえ、湿気はなくカラッとしており、日本の夏のようにうだるような暑さではありません。

暑さはもちろんあるのですが、暑すぎて歩けない思ったことはありませんでした。

個人的には、気温は高いものの日本の湿気のある暑さよりは全然歩きやすかったです。



ポルトガル海岸の道|9月後半のアルベルゲの混雑状況

アルベルゲの混雑状況は、一箇所だけ満員で埋まっており宿泊できなかった場所がありましたが、それ以外は泊まれないことはありませんでした。

ポルトガル海岸の道は巡礼路全体を通してアルベルゲが充実しているため、ひとつのアルベルゲが満員でも次のアルベルゲまで歩きやすい巡礼路です。


ドネーション制や料金が安いことが多い公営アルベルゲを中心に宿泊したい方は、満室に近いこともよくあったのであまり遅く着くと埋まってしまう可能性はあります。

ポルトガル海岸の道は民営アルベルゲやホステルが充実しているので、公営アルベルゲに泊まる場合は早めに到着する、空きがなければ民営アルベルゲかホステルに泊まるという選択で、アルベルゲがないといった状況になることは極めて稀だと思います。





ポルトガル海岸の道は経験者から未経験まで歩きやすい巡礼路

ポルトガル海岸の道は、たくさんあるスペイン巡礼路の中でも非常に歩きやすい巡礼路です。

宿泊施設や道順を示すサインが充実していて、ほどよい場所に町や村が点在しているどの視点から見ても安心して快適に歩くことができます。


その上で、海と山、自然と町、ポルトガルとスペインと巡礼路の中であらゆる楽しみがぎゅっと詰まった、巡礼の面白さを存分に感じられるのがポルトガル海岸の道です。







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