【イギリス人の道】ア・コルーニャから72kmの旅ブログ【カミーノ】
2024年7月に歩いたイギリス人の道の記録をご紹介します。
イギリス人の道には、イギリス国内からの道を除くと2ヶ所のスタート地点があります。
ひとつ目のスタート地点はフェロール、もうひとつは今回歩いたア・コルーニャです。
ア・コルーニャからの道はカミーノの中で最も短いルートであり全行程は72km。
ガリシア地方の北に位置する美しい港街ア・コルーニャを出発し、ガリシア地方ならでは奥深い入江沿いを歩きます。
入江を過ぎるとガリシア地方の田園地帯を進みサンティアゴ・デ・コンポステーラへと進む道。
ガリシア地方の美しい田園風景と入江を思う存分楽しむことができる、ガリシアの魅力をたっぷりと味わうことのできるカミーノです。
【1日目】A coruña〜Culleredo|9.6km
カミーノ、イギリス人の道のスタート地点はア・コルーニャ。
穏やかでゆったりとした空気感のある美しい街でガリシア地方屈指のリゾート地のひとつです。
スペインで人気の美しい街サン・セバスチャンを彷彿とさせる街並みと雰囲気で、数日間の滞在ですっかり魅了されてしまった街。
日本ではあまり知られておらず、スペイン旅行の目的地として選ばれることの少ない都市ですが、ぜひ友達や家族を連れてきたくなるような楽しさとリゾート感を味わえる街です。
カミーノはア・コルーニャの中心地を出発し、街の外れに行くにつれて坂道が多くなっていき、だんだんと郊外の街並みに変わっていきます。
距離の短いア・コルーニャ発のイギリス人の道では、ア・コルーニャを出発するとサンティアゴまで大きな街はありません。
だんだんと田舎の風景に変わっていく景色は、カミーノの始まりを感じさせてくれます。
すっかりア・コルーニャの街を出たところで眼下に望むのは美しい入江。
この入江はイギリス人の道のハイライトとも言えるほど、ア・コルーニャを象徴する風景です。
小学校の社会の教科書で「リアス式海岸」を習ったことを思い出しますが、リアス式海岸とはまさにガリシア地方でよく見られる地形で、ガリシア地方の入り組んだ地形を学者がリアス式海岸と名付けたそう。
ガリシア語で入江はRíaと呼ばれ、スペイン語由来の言葉です。
ア・コルーニャから6.2km地点の街O Portádegoでカミーノは2手に分かれます。
次の街O Burgoまでの2つのルート
・内陸を歩くルート(公式)
・入江沿いを歩くルート(オプション)
イギリス人の道の公式ルートは内陸を歩くルートですが、私は入江を是非とも堪能したかったのでオプションルートの入江沿いを歩くルートを選びました。
入江の美しさを最も楽しめる場所で過ごしたいと、今夜はO Burgoまで行かずに手前の町であるCulleredoで入江の目の前にあるホテルに宿泊することにしました。
こちらがホテルの部屋の窓からの景色!
深い青をした水が揺蕩う入江に沿って並ぶガリシアの緑と、オレンジ色の屋根が非常に美しくこの景色を見るために来たといっても過言ではありません。
まさに見たかった景色そのもので、なんとも豊かな時間です。
イギリス人の道の1日目はO Burgoまで歩く方も多いですが、O Burgoは入江を過ぎた場所にある町のため美しい入江を存分に楽しみたい方はCulleredoで一泊するのもおすすめです。
O Burgo、そして私が泊まったCulleredoにもアルベルゲはありません。
ふいにスマホの通知オンが鳴り、画面を見てみるとカミーノ友達から写真が届いていました。
メッセージはなく、送られてきた1枚の写真にはフェロールと書かれた看板の前でバックパックを背負った友達の姿が写されています。
え!待って、今どこにいるの?
今フェロールにいるんだ!明日からイギリス人の道を歩くよ!
ほんとに?!私も今日からイギリス人の道歩いてるよ!!
まさか!1日に違いで同じ道を歩いてるってこと?!
初めて私が歩いたカミーノであるポルトガル海岸の道で出会ったのが彼らでした。
ドイツ人の2人組の彼らは、ポルトガル海岸の道で仲良くなりカミーノの半分の時間を一緒に過ごした友達。年に数回連絡は取っていたものの、お互い今回カミーノに行くことは全く連絡していませんでした。
予定を合わせていないにも関わらずたった1日違いでイギリス人の道を歩くという、最高のタイミング。
5年ぶりの再会は図らずともサンティアゴ・デ・コンポステーラで会うことになり、素晴らしいスタートを感じる初日でした。
【2日目】Culleredo〜Sergude|10.1km
2日目のスタートは、美しい入江から。
入江に沿って美しい遊歩道が整備され、のんびりと遊歩道を歩いていきます。
流れる水に対岸の緑とオレンジ色の屋根が実に美しく、歩を進めるのがもったいなく感じてしまうほど。
1日中いても美しさを感じ続けることができるだろうと思うほどの風景を目の前に、急ぐ旅ではないので入江の前にある公園で2時間ほどごろごろしてから歩き始めました。
入江沿いを過ぎO Burgoに到着です。
O Burgo以降は、20.1kmの区間で飲食店やスーパーマーケットはありませんので、食品や飲み物を準備しておくのがおすすめです。
O Burgoを出発するとガリシア地方の住宅街がメインのカミーノです。
住宅街とはいえ、田舎の風景にぽつぽつと家々が並びひとつひとつが可愛らしく飽きることはありません。
7月の燦々と照りつける太陽がガリシア地方の緑の美しさを一層引き立ててくれます。
今夜の宿はSergudeにある唯一のアルベルゲAlbergue de peregrinos de Sergude-Carralに宿泊しました。
7月というピークシーズンにも関わらず、宿泊者は私を含めて4人だけ。
モダンな建物に清潔な室内で心地の良いアルベルゲです。
周りに何もなく、ただのんびりと過ごすカミーノらしい夜でした。
【3日目】Sergude〜Ordes|23.4km
3日目はSergudeから12.6km地点の街Hospital de Brumaまでの間で400メートルほど標高が上がります。
平坦な道が多いイギリス人の道の中で、唯一ハードさを感じる方もいるステージです。
しかし登り坂の大変さを大きく上回るのがガリシア地方の美しい農村部の風景。
田畑に囲まれた道を多く歩くステージで、様々な農作物が育つ風景を眺めながら歩きます。
Hospital de Brumaは2つのイギリス人の道が合流する街。
私が歩いているア・コルーニャからの道、そしてフェロールからの道が一本の道につながる場所です。
Hospital de Brumaは小さな村でカフェが1軒とアルベルゲが2軒そしてホテルが1軒あります。
ここまでほとんど巡礼者に会うことがなく片手で数えられるほどの人にしか合いませんでしたが、この街から一気に巡礼者が増え活気付きます。
Hospital de Brumaのアルベルゲは13時半の時点で満室だったため、次のアルベルゲまで歩くことにしました。
2つのスタート地点から来た巡礼者が宿泊する街のため、この街で確実に泊まりたい方は予約しておくことも可能です。
Hospital de Brumaの次のアルベルゲは、9.8km先のO OuteiroにあるアルベルゲAlbergue de peregrinos Rectoral de Pouloです。
とはいえ予約不可なアルベルゲのため、おそらく満室だろうと踏んでイギリス人の道のルートから2.6km外れた場に位置する街Odresにあるホテルに泊まることにしました。
Odresはどうやら大きめの街のようで、せっかくならこの機会に知らない街に行ってみようと楽しみに歩き出します。
私が歩いたのは7月。太陽照りつける日差しが強く午後の早い時間にアルベルゲで休む人が多く14時を回るとほとんど人が歩いていません。
Hospital de Brumaを過ぎた後の景色は私にとってまさに絶景で、この景色を誰もいないたった一人の時間を楽しみながら見られたことは本当にラッキーでした。
夕方くらいにはOdresに到着し、美しい街の風景に胸が高鳴ります。
Odresにはアルベルゲはないため、イギリス人の道の名のついたホテルHotel Alda Camiño Inglésに宿泊しました。
街までの道のりではほとんど人に合いませんでしたが、ホテル周辺では巡礼者をよく見かけたので夏のピーク時の定番オプションのようです。
【4日目】Ordes〜Sigüeiro|14.6km
イギリス人の道も終盤に差し掛かってきた4日目。
ガリシアらしい農村部を歩き、心地の良い道が続きます。
少し項垂れた小麦やすくすくと育つ農作物、カーブした道の美しさや緑に彩られた真っ直ぐな道、とにかくその全てが美しく新鮮な気持ちで楽しめることができる風景。
変わっていないように見えても変わっていく空気感を楽しめるカミーノの楽しさを感じます。
今日の目的地Sigüeiroはサンティアゴ・デ・コンポステーラ前の最後の街。
ア・コルーニャを出発してから初の大きめの街で、最終日のサンティアゴ・デ・コンポステーラまでの道を歩くのにちょうど良い場所に位置しているため、ほとんどの巡礼者が宿泊する街です。
ア・コルーニャ発のイギリス人の道の中でもアルベルゲが最も多い街Sigüeiroでは、アルベルゲ探しをしているときに是非泊まりたいと思ったアルベルゲに宿泊しました。
Sigüeiroの数あるアルベルゲの中でもすぐに予約で埋まってしまうアルベルゲAlbergue Segue o Camiño。
淡いパステルカラーのグリーンで統一されたベッドには、ふかふかのお布団と枕が用意されています。
ベッドはドミトリーではあるものの、その寝心地は本当のベッドそのもの。
歩き続けてきた身体に染みる最高の寝心地です。
朝食もフリーでシリアルやパン、コーヒーや紅茶などを用意してくれて、アルベルゲもとても清潔。
イギリス人の道を歩くときは是非ともおすすめしたいアルベルゲです。
【5日目】Sigüeiro〜Santiago de Compostela|15.7km
今日はカミーノ最終日。
イギリス人の道のハイライトは、前半のガリシア地方ならではの入江、そしてもう一つはガリシア地方の農村部の風景。
最終日の今日も、美しい農村部の風景をこれでもかと楽しめるカミーノです。
イギリス人の道は、田舎の一本道を好きな歌を大声で歌いながらドライブするような気持ちよさがあります。
ダイナミックさはないけれど、なんてことない安定した美しさを存分に楽しめるような気楽さと心地よさを感じるルートです。
サンティアゴ・デ・コンポステーラへ向かうにつれて少しずつ変わっていく風景。
短いカミーノであるからこそ、ひとつひとつの目の前の風景を思いっきり楽しみたいという気持ちを強く感じました。
ここまで来たら、カミーノしたことのある方にはもうお馴染みの風景でしょう。
サンティアゴ・デ・コンポステーラの街に差し掛かるとき、何度歩いてもいつでも新鮮な気持ちを感じます。
大聖堂の真横のトンネルをガリシアのバグパイプ、ガイタが鳴り響くのを聴きながらサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂に到着です。
距離にしたら短いカミーノですが、すごく楽しくてサンティアゴに到着したら思わず泣いてしまいました。
到着して涙が溢れたのは初めてで、ここに来るたび以前の自分よりもっと楽にもっと自由に生きられるようになっていることを感じます。
今回の旅では、サンティアゴ・デ・コンポステーラで1週間のんびりと過ごしました。
こんなに長くサンティアゴ・デ・コンポステーラに滞在したのは初めてで、行ったことのないレストラン、知らない小道を探索したり、大聖堂の前でゆるりと過ごす時間がなんとも心地よい1週間でした。
いつだって喜びに溢れているサンティアゴ・デ・コンポステーラ。
次に訪れるときはどんな自分でここにいるのか楽しみでなりません。
これまでのカミーノでずっと、カミーノで見る景色の美しさや楽しさをシェアしたいと感じていました。
今回のイギリス人の道でついにカメラを回し、ア・コルーニャのカミーノを撮影しました。
安いカメラだったため手ブレもあり見にくい部分もあるかと思いますが、人生初めてのVlogを公開したのでぜひご覧ください。
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