原始キリスト教コミュニティが運営するカフェとアルベルゲ【カミーノ北の道】

スペイン巡礼では、その土地に暮らす人々の生活に触れ、多様性に溢れる文化を感じることができるのも魅力のひとつ。

そんなスペイン巡礼ならではの体験をできる場所のひとつが、カフェレストラン「Yellow Deli」と近隣にあるアルベルゲ。


原始キリスト教に基づき生活するコミュニティが運営しているカフェとアルベルゲです。

身の回りのほとんどのものを手作りし、クリエーションしたものを売って暮らす。

時間の流れが異なるようなゆったりとした彼らの生活に少しだけ触れることができる場所です。

原始キリスト教のコミュニティが運営するカフェとアルベルゲ

カミーノの旅路の中では、教会や修道院、僧院などキリスト教文化に関する場所がアルベルゲとして開放されており宿泊することができます。

夜にはミサが開かれ、説教やお祈りを聞き、歌を奏でてくれることもあります。


そんなカミーノならではのキリスト教体験とは全く違う、原始キリスト教に基づいた生活そのものを感じることができる場所が、彼らが運営しているカフェとアルベルゲ。

私が訪れた時は、たまたまイベントで人が出払っていて休業していたのですが、せっかく訪れたのだからと生活の様子を見せてくれました。



内装から外観まで全て自分たちの手で改装したというカフェの内部。自分たちの生活スペースだという２階部分には、書きかけの美しい絵やミシンで服を作る女性。

来ている服は全て自分たちで作り、できることは基本的になんでも自分たちで手作りするそう。

彼らの生活の基盤は自分たちでクリエーションすること。カフェがその代表で、絵を描いたりパンを売ったりしながら暮らしています。

敷地内には広い農場があり、牛や羊、ついつい人の後に着いていってしまう可愛らしいポニーも見せてくれました。



中には学校に行かない生き方を選択する人もいたりと、多くの人が社会的に選択しているものとは違った自由な生き方をする人々が集まり、ヒッピーや小さな頃から車で旅しながら生活している家族のような雰囲気も感じます。

私がカフェを訪れたのは偶然ではなく、サン・セバスチャンにあった彼らが運営するアルベルゲに宿泊してカフェについて教えてもらいました。

アルベルゲを運営しながら暮らす人々はゆったりのんびりとしていて、彼らの生活の様子や、なぜこの生活を選んだのかなど、じっくりと聞かせていただきました。

サン・セバスチャンのアルベルゲは現在閉館していますが、カフェのおよそ６５０m先に彼らが運営するアルベルゲがあるので、話してみたい方は訪れることができますよ。


一般的なアルベルゲは、それぞれの雰囲気の違いはあれどカミーノらしさを感じることができます。

彼らのアルベルゲは、カミーノの宿というより彼らの生活の中に少しだけ入らせてもらったような、時間の流れも雰囲気も他とは異なる空間でした。

彼らのコミュニティーは「 Doce Tribes 」と言い、英語では「 Twelve Tribes communities」、日本語では「十二支族教団」として知られています。１９７２年にアメリカで始まった原始キリスト教に基いています。


敷地を案内してくれた彼女が、「近年のキリストや神の概念には社会的操作やズレが多すぎて、ほとんどの人はその意図するところの本質を見る術を知らない」と言っていたのが印象的でした。

彼らならではの生活を感じてみたい方は、訪れてみるのもおすすめですよ。