【カミーノ北の道】ガリシア地方のルート・見どころ・アルベルゲ情報まとめ
本記事ではスペイン巡礼、カミーノ北の道Camino del Norteを歩いた実体験をもとに、北の道ガリシア地方のルート情報を解説します。
スペイン北部の4つの州を歩くカミーノ北の道。ガリシア州はカミーノ北の道で最後の4つ目の州です。
カミーノ北の道で通過する4つの地方、バスク地方、カンタブリア地方、アストゥリアス地方、そしてガリシア地方。
それぞれの地方で、それぞれの地域ならではの魅力やそこにしかない美しい風景がありますが、ガリシア地方は特に「ガリシア地方らしい」と形容したくなるほど、独特の風景を楽しめる地域。
朝方の靄のかかった世界を柔らかな太陽の日差しが照らし、木々がざわざわ揺らめく林道は少しだけもの寂しさを感じるような独特の風景を見せてくれます。
ガリシア地方は、カミーノ北の道の中で唯一海を見ることのない地域。
海の変わりに目の前に広がるのはガリシア地方ののどかな農村部。
カミーノ北の道の中で、最も多く小さな村や農村部を通過するのがガリシア地方です。
ガリシア地方のカミーノでは巡礼路上に大きな街はほどんどなく、のどかで時間の流れがゆっくりと感じるような村の風景や、なんてことはないけれど美しさの詰まっている景色を存分に楽しめます。
ルートは急なアップダウンもなく歩きやすいカミーノですが、飲食店が少ない区間が多いので食料と水の携帯が必須のエリアです。
ガリシア地方では、巡礼路上に飲み水がある場所はほとんどないので水も十分に持っておくと安心です。
本記事では、カミーノ北の道を歩いた実体験をもとに、北の道ガリシア地方のルート情報や見どころ、アルベルゲ情報などを巡礼記と一緒にご紹介します。
【カミーノ北の道ガリシア州】ステージごとのルート情報と巡礼記
カミーノ北の道のステージごとに、ルート情報や実際に泊まってみて良かったアルベルゲ、味のあるアルベルゲなどを巡礼記と一緒にご紹介します。
ステージは、実際に私が歩いた区切りとは違うこともありますが、わかりやすいようにGronzeのステージを採用しています。
北の道を歩く際の参考になれば嬉しいです!
ステージ28 Ribadeo – Gondán 20.9km
ガリシア州は、北スペインの4つの州を歩くカミーノ北の道の最後の州。
州境を越えるたび感じる、次のステップに進んでいくような高揚感。
カミーノ北の道の象徴であるカンタブリア海を離れ、サンティアゴ・デ・コンポステーラへと続く内陸の道の巡礼は、カミーノが終わってからも続いていくこれからの人生への期待と、目の前のこの瞬間を楽しもうという気持ちをより一層深めてくれます。
さて、前置きが長くなりましたが、ガリシア地方最初のステージは、極端に飲食店の少ないステージ。
リバデオを出発すると、ステージのゴールGondánまでは、リバデオから6.3km地点のVilelaにアルベルゲAlbergue A Penaに併設のレストラン兼バルが1軒あるのみ。
ステージのゴールであるGondánにはアルベルゲが1軒ありますが、周囲に飲食店は一切なくアルベルゲでも食事の提供はありません。
そのため、Gondánから6.6km先の町であるローレンサLourenzaまで歩く巡礼者がほとんどです。
私は体調が優れなかったこともあり、今日ステージ28のスタート地点リバデオから6.3km地点村VilelaにあるアルベルゲAlbergue A Penaに宿泊しました。
村と言ってもこのアルベルゲが一軒あるのみで、周辺には店はおろか家もありません。
食事はアルベルゲにバルが併設されています。このアルベルゲを出ると約16.3kmの間食料を買える場所がないので、翌日用にボカディーリョなどの軽食を買っておくと安心です。
12ユーロ/予約可/夕朝食なし(バル併設)/ベッド数17/車椅子対応
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翌朝アルベルゲを出ると、太陽の光が優しく木々を照らし思わず立ち止まって見入ってしまうような風景が。
周りに何もないステージならではの朝焼けはとても優美なものでした
アルベルゲに併設されているバルに立ち寄らない場合、リバデオから22.7kmの間飲食店やスーパーマーケットなど食料を購入できる場所はありません。
どこで一夜を過ごすにしろ、飲食店が極端に少ないステージなので、水と食料の確保は必須です。
ステージ29 Gondán – Mondoñedo 15.6km
ガリシアらしいのどかな景色が続くステージ29。
Gondánから1.8Km地点の小さな村San Xusto de Cabarcosにバルとレストランが一軒ずつあります。
バルとレストランが一軒ずつあるだけのとても小さな村ですが、ひとつ前のステージが飲食店のないステージなため、巡礼者にとっては食事はもちろんビールも楽しめるオアシスのような村です。
Gondanから6.6km歩いた地点のローレンサLourenzaには、快適なアルベルゲ、バルやカフェ、そしてスーパーマーケットがあります。
スペインの役所はどこに行っても美しい建物が多いですが、ここローレンサの町役場は一際目を引く美しさ。
夕暮れ時に黄金色に輝く建物は小さな町役場とは思えないほど堂々たる威厳を放っています。
私はローレンサのアルベルゲAlbergue Saviorで一泊することに。優しい女性のオスピタレラが出迎えてくれるアルベルゲで、内装も可愛らしくまるでペンションのよう。
自分のベッド自体にカーテンはありませんが、隣の2段ベッドとの間にカーテンをつけてくれてあるのでプライベート感もあり心地よいアルベルゲです。
20時以降はオスピラレラが帰宅し受付できないので、20時までの到着が必須です。
15ユーロ/予約可/夕食なし朝食有り(3ユーロ)/ベッド数26/車椅子対応
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ステージ29のゴール、モンドニェードMondoñedoはバルやカフェ、レストランはもちろん、美しいモンドニェード大聖堂があり、「スペインで最も美しい村」にも登録されている見応えのある町です。
町の規模は大きくありませんが、カミーノ北の道のガリシア地方内ではほとんど町と呼べる町を通過しないため、巡礼者にとっては胸が躍る大きな町。
目の前が大きな広場になっているモントニェード大聖堂。広場にはバルやレストランが並びガリシア産のワインをゆっくりと味わいながらゆったりとしたひと時を過ごすのもまた心地良い時間。
ワインの名産地を多く持つガリシア地方の中でも、この日飲んだリベイロのワインはガリシア州の中で最も古い葡萄の生産地だそう。
時は12世紀、年間約200万人のサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼者がいたと言われており、巡礼者にもリベイロのワインは大人気だったそうです。
みずみずしくフルーティな味わいが特徴のリベイロのワイン。長い年月が経った今、当時の巡礼者と同じようにガリシアのワインを飲みながら巡礼を楽しむのもまた味わい深い経験です。
ステージ30 Mondoñedo – Abadín 16.6km
モンドニェードMondoñedoを発つと始まる上り坂。ステージ30は久しぶりに標高が上がるステージです。
モンドニェードの街のある140m地点から560mまで上がりますが、舗装された緩やかな道を徐々に登っていくため、さほど疲れは感じません。
ステージ全体を通して、陽の光を浴びて緑々と輝く草原地帯が続き、ひたすらに美しいカミーノ。
カミーノ北の道ガリシア地方の中でも特に美しいステージです。
モンドニェードからステージ30のゴールの手前の町Gontánまで、15.8kmの間に飲食店は一切無いので、水と食料の準備が必須です。
また、日差しを遮るものが何もないステージでもあります。
標高+420mまで登りますが、上がってしまえば同じ標高を保ったまま巡礼路が続き、下り坂はありません。
標高が上がるステージではありますが、景色を楽しむ余裕を十分に持てるカミーノです。
アバディンAbadínは、距離にして約240mほどの短い大通り沿いに数件の店が並ぶだけの小さな村ですが、夕食を食べられる飲食店が2軒とスーパーマーケットがあります。
アバディンのアルベルゲAlbergue Xabarínは、カミーノ北の道の中でも特に現代的なアルベルゲのひとつ。
各ドミトリーの部屋には、カードキーが付いており、シャワールーム、キッチン、ドミトリールームも含め館内全体が綺麗で清潔。各ベッドにはコンセントがついています。
アルベルゲというよりは都会の現代的なホステルといった雰囲気で、トップレベルの快適さですよ。
アプリBuen Caminoの口コミでもトップレードが付いている満足度の高いアルベルゲです。
17ユーロ/予約可/夕朝食なし(コーヒーとフルーツは無料でいつでもいただけます)/ベッド数25/車椅子対応
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ステージ31 Abadín – Vilalba 20.8km
ステージ31のスタート地点アバディンから5.8km地点にある小さな村As Paredes。
ゆっくりとした一日を過ごそうと、今日の歩きは5.8kmにとどめAs ParedesのアルベルゲAlbergue O Xistralで一泊することに。
特にリサーチもせず、アバディンから一番近いというだけで選んだアルベルゲでしたが、カミーノ北の道の中でも特に印象深いアルベルゲです。
もともとは動物小屋だったという場所を、オスピタレロ自らの手で少しずつ改築していったアルベルゲは、森の中のオアシスのようなこだわりの詰まった場所。
ログハウスのような外観の建物の外には、広いガーデンがあり、大きな木のそばには木製のベンチとテーブルが。
木陰からゆるりと差し込む陽射しの下、好きな本を読み、スーパーで買っておいたパンにハムとチーズを挟んだ自家製ボカディーリョを食べる。
なんて事のない事柄の中に幸せが存分に詰まった時間を過ごせるアルベルゲです。
周辺に飲食店やスーパーマーケットはありませんが、アルベルゲでビールやスナックを購入できます。ディナーはオスピタレロの手作りで、これまた絶品ですよ。
アバディンで一夜を過ごす方にとっては、5.8km地点にあるこのアルベルゲは特に立ち寄る必要のない場所ですが、それでもここでのひと時を過ごすことをぜひおすすめしたくなるアルベルゲです。
18ユーロ/予約可/夕食10ユーロ朝食無料/ベッド数17/車椅子対応
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翌朝はガリシア地方らしい、霧立ち込める天気。
晴れ空を好む私ではありますが、これもまたガリシアを感じられる情緒ある景色です。
アルベルゲを出て少し歩くと、雑木林の脇で手作りのアクセサリーを並べ販売している方に出会いました。
全く商売っ気がなく、柔らかな空気感の中にも凛としたもの持ったような彼は、” 目に見えない世界 ” を生きているのがひしひしと伝わってくる空気感。実際に言葉を交わしてみると、一般的な常識を超越した、けれどとても自然な体験をシェアしてくれて、心に残る出会いのひとつに。
「 カミーノだから。」で片付けてしまうのは簡単だけれど、素晴らしい出会いはいつもどんな場所でも起こり得る、そんなふうに最近は実感しています。
ステージ31のゴール、ビラルバVilalbaは飲食店やバルが充実している大きめの町。タバコ屋やATMもあり、巡礼者にとって便利な町です。
ビラルバを出発すると、約60kmに渡りガリシア州の田舎エリアが続き小さな村ばかりです。
その間、ATMはありません。
現金のみしか使えないバルやカフェが多いので、ビラルバで現金の準備をしておくのがおすすめです。
ビラルバから60km間のアルベルゲは、現金のみのアルベルゲもあります。
ビラルバを出発した後、およそ10〜18km区間ごとにアルベルゲがあります。とはいえ、数が充実しているわけではないので、現金の持ち合わせがないために想定外の距離を歩く体験をしました。
自分のペースで歩きたい方は現金を準備しておくのがおすすめですよ。
ステージ32 Vilalba – Baamonde 18.5km
ガリシア州ののどかな田舎道を歩くステージ32。
何故かこの日は写真をほとんど撮っておらず、お見せできないのが残念ですが、実際のカミーノはコンクリートはほとんどなく田園風景が続きます。
そのため飲食店が少なく、ステージ32を通してバルが1軒あるのみ。
巡礼路は起伏のない歩きやすい道です。
Baamondeはアルベルゲと数件のバルがあるだけの小さな村。アルベルゲ付近には2軒のバルがありますよ。
そしてここBaamondeは、サンティアゴ・デ・コンポステーラまで100km地点の地。
824kmのカミーノ北の道も残り100kmです。
ステージ33 Baamonde – Sobrado dos Monxes 39.8km
今日のステージ33は大きな分岐点があります。
Baamondeから5.1km地点のToarに立つモホンが示す左右の分かれ道。
二つの道は、ソブラードSobrado dos Monxesで合流します。
- ・左のカミーノ Miraz方面
-
・ソブラードまで34.7km
・距離は長いがアルベルゲがあるので分割して歩ける - ・右のカミーノ As Cruces方面
-
・ソブラートまで26.9km
・距離は短いがアルベルゲがないので一気に歩く
左側の巡礼路Miraz方面は、距離は長いですがステージ内に4つのアルベルゲがあるので、分割して歩くことができます。
数は多くありませんが、バルやレストランがあるので食べ物の面でも安心して歩けますよ。
右側の巡礼路As Cruces方面は、距離は短いですが、アルベルゲが分岐点から2.6km地点に一軒あるのみ。飲食店もないため、一気に歩くカミーノです。
私は左の長いけれどアルベルゲがあるルートを行くことにしました!
バスク地方、カンタブリア地方、アストゥリアス地方それぞれに違う美しさや表情がありますが、中でもガリシア地方は特に「 ガリシアらしい 」で形容できてしまうような独特の美しさを持つエリア。
もやがかかった白い景色を包み込む穏やかな陽射し、緩やかに差し込むオレンジ色の光、どこか少しだけ翳りがあるような情景の中を照らす光。
北の道ガリシア州の中でも、特にガリシアらしさを感じられるステージです。
晴れた日は、カラッとした青空の下に広がる農村部の酪農風景や田舎の風景が広がります。
日によって、場所によって異なる美しい表情を見せ続けてくれるステージで、のどかさの中にも些細な新鮮さをたくさん見つけられます。
私は2日にわけてゆったりと歩きました。
ソブラートSobrado dos Monxesは小さな村ですが、数件の飲食店とスーパーマーケットがあります。
そしてソブラートの一番の見どころはアルベルゲも併設されている修道院Monastery of Sobrado。
北の道の中でも有名で規模の大きな修道院。観光名所にもなっていますよ。
質素で全く飾り気のない、白一色の世界です。
この修道院のアルベルゲは北の道で有名なアルベルゲのひとつ。
ソブラードの修道院とアルベルゲは巡礼中に何度も話題にあがりました。
私が北の道を歩いたのは2021年。コロナの影響で閉まっており宿泊しませんでしたが、ぜひ泊まってみるのもおもしろいアルベルゲだと思います。
2021年にはリノベーションされているそうですよ。
8ユーロ/予約不可/夕朝食なし/ベッド数98
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急ぐ旅ではないので、残りのカミーノのじっくり味わってみたいな、とソブラートには2泊しました。
1泊はアルベルゲで、もう1泊は大きな窓から修道院を望むペンションで。
修道院からは徒歩1分のペンションPensión Vía Sacraは、ゆっくりするのには最高の景色。修道院をワインの肴にしながらのんびりとカミーノのひと時を過ごすのもまた、最高の時間です。
ペンション/予約可/夕朝食なし/ベッド数12/車椅子対応
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ステージ34 Sobrado dos Monxes – Arzúa 22.0km
今日ステージ34は、カミーノ北の道 ” 最後 ” のステージ。
もちろん、まだサンティアゴ・デ・コンポステーラには到着していないのでカミーノは続きますが、今日のステージのゴールであるアルスアArzúaからは「 フランス人の道 」に合流します。
今日のステージは起伏もなく歩きやすいルート。コンクリートが多めの巡礼路ですが、広い大地に遠くに見える低い雲とガリシアらしい景色を楽しめます。
私はこのステージの中間地点あたりに位置する小さな村ボイモルトBoimortoのアルベルゲAlbergue-hostel Casa da Gándaraに一泊しました。
ペンション風の家庭的なアルベルゲで、フレンドリーで優しいオスピタレラが出迎えてくれます。
ブランコのようにスイングするベンチのあるプライベート感のある中庭も心地よく、ステージを分割するならおすすめしたいアルベルゲですよ。
15ユーロ/予約可/夕朝食なし/ベッド数27/車椅子対応
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カミーノはアルスアArzúaへ。ここアルスアで北の道は、フランス人の道に合流します。
私が北の道を歩いたのはコロナの影響があった2021年だったのもあってか、北の道を歩いている途中に会う巡礼者はそう多くありませんでした。
それがアルスアに着くや否や、人、人、人!!!
例年に比べれば、フランス人の道を歩く人も少なかったと思いますが、北の道から来てみると、その活気と人の多さに驚きました。
静けさと一人の時間を楽しむカミーノから活気と流れを楽しむカミーノに雰囲気がガラッと変わった感覚です。
アルスアの名物は、「まるでバターのよう」と形容されるケソ・アルスア・ウジョアQueso Arzúa-Ulloa。
驚くほどクリーミーで、濃厚なのにしつこくなくバニラクリームのようなほのかな甘みも感じられます。
そのままの美味しさはもちろん、お肉との相性も抜群ですよ。
チーズ好きには是非ぜひ味わっていただきたい一品です。
フランス人の道を歩いた時に来てとても美味しかった店がある!
と仲良くなった巡礼者が連れて行ってくれたHostal Restaurante Teodoraでいただきました。
どの料理も文字通り絶品で、店内には訪れた人の写真が多く飾られていて知る人ぞ知る名店だそう。
今回はカミーノとその後のスペインバックパック旅で合わせて3ヶ月間スペインに滞在しましたが、個人的には、3ヶ月間の中でもトップ3に入るレストランでした。
アルスアチーズはもちろん、チーズを使った料理も楽しめるので、訪れてみるのもおすすめですよ。
Hostal Restaurante Teodora
+34981500083
ステージ35 Arzúa – O Pedrouzo 19.3km【フランス人の道】
アルスアからサンティアゴ・デ・コンポステーラまではフランス人の道を歩きます。
すでにフランス人の道を歩いたことがある方は、見覚えのある景色の中、懐かしさを感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ガリシアらしい細い木々の道、オレンジ色に空を優しく染める夕日、残りのカミーノを祝福するかのような素晴らしい景色が続きます。
アルスアから7.5km地点のA Calle de Ferreirosには、カミーノらしいバルCasa Tía Doloresが。
誰が始めたのか、ビールの空き瓶が所狭しと集まりアート作品のようなオブジェになっているこの場所。
ひとつひとつの瓶には名前や好きな言葉が書かれていて、多くの巡礼者がこの場所を通過してサンティアゴへと向かっていったのがわかります。
とても目立つので目の前を通過するとすぐにバルを見つけることができますよ。
ステージ34のゴールO Pedrouzoの3.4km手前には、Cercedaという小さな村があります。
CercedaにあるバルレルトランO Ceadoiroには、ガリシア州でナンバーワンに輝いた名物トルティーヤがあります。
絶妙な焼き加減のトロトロ卵のトルティーヤ。巡礼路上にあって、ついつい入りたくなるような立地に建つバルの中は巡礼者で大賑わい。
ガリシアでナンバーワンのトルティーヤを味わってみるのもおすすめですよ。
O Ceadoiro
ガリシア地方でNo,1のトルティーヤ
ステージ36 O Pedrouzo – Santiago de Compostela 19.4km 【フランス人の道】
いよいよ824kmのカミーノ北の道も今日が最終日。
サンティアゴ・デ・コンポステーラへ向かうみんなの足取りはいつもと違い、浮き足だった雰囲気。
それは私も同じで、今日でサンティアゴに着くという実感のないまま歩き出します。
19.4kmの最終ステージですが、私はゆっくり歩こうとサンティアゴまで9.9km地点もLavacollaで一泊しました。
仲良くなった巡礼者と一緒に向かったサンティアゴ・デ・コンポステーラ。
話しながら歩いていたのもあってか、いつもと変わらない巡礼の日々のよう。
カミーノ北の道は、ついにサンティアゴ・デ・コンポステーラへ。
肩を抱き合って涙する人、感慨深い面持ちで大聖堂を眺める人、歓喜する人。
3度目のサンティアゴ・デ・コンポステーラは来るたびに違う自分に会える場所。
ここにいる自分の感じ方で、自分の成長に気づく気がします。
いつも変わらないのは、喜びと至福に満ちた空気感。
世界中の人々がこの地に集まり、弾け飛ぶような喜びと、どっしりとした幸せな空間の中に身を置いて、明日からはまた違う道を歩く幸せな交差点のような場所です。
【カミーノ北の道】ガリシア地方のルート概要・特徴
北の道のガリシア地方の巡礼路は、平坦な道を歩くカミーノだったアストゥリアス地方に比べ、再びアップダウンが増えてきます。
とはいえ、バスク地方のように激しいアップダウンはなく、緩やかに登り、緩やかに下ります。
最も標高が上がるのはステージ30。標高560m地点まで上がりますが、標高140m地点の町からスタートするため高低差は320mほど。
舗装されたなだらかな道を上って行くため、さほどしんどさは感じず景色を楽しむ余裕も十分に持つことができるステージです。
ガリシア地方は、カミーノ北の道で通過する4つの州の中で、最も飲食店やバルが少ない地域です。
16km前後に渡ってスーパーマーケットや飲食店、バルなど食料を確保できる場所がない区間が多いので、水と食料は毎朝準備しておくのがおすすめです。
ガリシア地方に入ると、巡礼路上の公共の飲み水場はほとんどありません。
4つの州の中で、ガリシア地方は町が少ない地域でもあり通過するのは小さな村がほどんどです。
ガリシア地方では、現金払いのみの飲食店やアルベルゲも多いため現金を持っておくことが大切です。
小さな村にはATMがなく、特にステージ32のスタート地点ビラルバVilalbaからは約60kmに渡りATMがありません。
ATMのある町に着いたら、十分な現金を持っているか確認しておくと安心して巡礼を楽しめますよ。
【カミーノ北の道】泊まってよかったガリシア地方のおすすめアルベルゲ
カミーノ北の道のアストゥリアス地方で、実際に泊まってみて居心地のよかったアルベルゲをご紹介します。
巡礼中は、どのアルベルゲに泊まるかも縁やタイミングだと思うので、参考までに!
ちなみにですが、Booking.comで宿泊施設を予約するとき、ハピタスを経由してBooking.comを利用すると宿泊料金の5%のキャッシュバックがもらえます。
ハピタスとは大手ポイントサイトです。同じ宿に泊まるのにハピタスを経由する10秒ほどの手間を加えるだけてキャッシュバックしてもらえるので、Booking.comを使うことの多いカミーノでは結構お金が貯まるのでおすすめです。
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【ローレンサ】Albergue Savior
ステージ29:ローレンサLourenza
柔らかな笑顔のオスピタレラが出迎えてくれる可愛らしいペンションのような温かみのあるアルベルゲ。隣とのベッドの間に大きなカーテンで仕切りがされているので、小さな自室のようなプライベート空間を広々と感じられるのも心地良い。
【民営アルベルゲ】
15ユーロ/予約可/夕食なし朝食有り(3ユーロ)/ベッド数26/車椅子対応
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【アバディン】Albergue Xabarín
ステージ30:アバディンAbadín
館内全体がとにかく清潔で綺麗な現代的なアルベルゲ。ドミトリールームやベッドはアルベルゲというよりは都会のホステルのようなモダンなデザインと快適さ。アプリBuen Caminoの口コミでもトップレードが付いている満足度の高いアルベルゲです。
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【As Paredes】Albergue O Xistral
ステージ31:As Paredes
動物小屋だった場所をオスピタレロ自らの手で改築して作った手作りのアルベルゲ。もともと動物小屋だったとは思えないほど綺麗で、こだわりの詰まったリビングルームはモダンさも感じるデザイン。アルベルゲでは改築の過程を記録した写真も見ることができます。アルベルゲの外には広い芝生の庭に木のテーブルとベンチがありゆったりとした時間を過ごすことができます。
【民営アルベルゲ】
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【ボイモルト】Albergue-hostel Casa da Gándara
ステージ34:ボイモルトBoimorto
ペンション風の可愛らしい作りで、温かみのある家庭的なアルベルゲ。フレンドリーで気さくなオスピタレラが出迎えてくれます。中庭にはゆらゆら揺れるブランコのようなベンチがあり心地よさのあるアルベルゲ。
【民営アルベルゲ】
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【カミーノ北の道】巡礼路で味わえるガリシア地方のグルメと名物
ガリシア地方は知る人ぞ知る美食の宝庫。
スペインの首都マドリードでもガリシア料理店は人気を博し、素朴ながら一度食べたら一度食べたら病みつきになってしまうのがガリシア料理。
カミーノ北の道の巡礼路上はもちろん、サンティアゴ・デ・コンポステーラの至る所で楽しむことができるガリシア地方の定番料理です。
かしこまったものではなく、バルで気軽に楽しめる料理ばかりです。
【タコのガリシア風】プルポ
ガリシア地方のバルやレストランの定番中の定番メニューが「タコのガリシア風」プルポ・ア・ラ・ガジェーガPulpo a la gallega。
スペイン語の”Pulpo”とはタコを意味し、タコを使った様々な料理がありますが、プルポ・ア・ラ・ガジェーガはガリシア地方ならではの郷土料理。
茹でたタコにたっぷりのオリーブオイルとパプリカ、塩をかけたシンプルな料理ですがクセになる美味しさ。ビールとの相性も最高です。
日本ではタコはあまり好きではなかったのですが、タコの概念が変わってしまうほど一度食べたら病みつきになる料理です。
【ししとう】パドロン
ガリシア地方のバルで必ずと言って良いほどメニューにあるのが、パドロンPadron。
ししとうに似たピーマンの一種で、辛味はありません。
パドロンを素揚げして岩塩を振りかけただけのシンプルな料理で、ほのかな苦味が口の中に広がり食べだすと手が止まらない一品。
個人的にはガリシア地方の料理で一番好きな料理で、素材の味を存分に楽しめる料理です。
ビールのおつまみにも最高ですよ。
【ガリシアのスープ】カルド・ガジェゴ
「ガリシア風スープ」という意味のカルド・ガジェゴCaldo Gallegoもガリシア地方を代表する郷土料理。
じゃがいも、かぶの葉、キャベツなどの野菜と豚肉の脂身を煮込んだ、さらっとした口当たりの優しいスープです。
野菜から溢れ出たコクが味わい深く、素朴でどこか懐かしさを感じる心落ち着くスープ。
胃に優しいので、がっつりとしたスペイン料理の合間にもおすすめですよ。
【カミーノ北の道】ガリシア地方の巡礼路にある主要な街
カミーノ北の道のバスク地方、カンタブリア地方、そしてアストゥリアス地方では、各地方を代表する街や観光地など、大きな街も巡礼路で多く通過します。
ガリシア地方に入ると、小さな町や村を通るカミーノになり大きな街や観光地はサンティアゴ・デ・コンポステーラまでありません。
その中でも、カミーノ北の道のガリシア地方で比較的大きな町がステージ29のモンドニェードMondoñedo。
モンドニェードの一番の名所は、町の規模に似つかわしくないと思えるほど堂々と鎮座するモンドニェード大聖堂。
大聖堂の目の前は広場になっていてバルやレストランが軒を連ね、美しい大聖堂を眺めながら優雅なひと時を過ごすことができます。
町の規模やバルやレストランの充実度は、サンティアゴ・デ・コンポステーラまでの北の道のガリシア地方の中で一番。
スペイン国内に111箇所ある「スペインで最も美しい村」に認定されている場所でもありますよ。
町と呼べる町をほとんど通過しないガリシア地方のカミーノでは、大きな町に来た感を存分に味える心躍る町です。
【カミーノ北の道】ガリシア地方巡礼記まとめ
カミーノ北の道のガリシア地方は、北の道の巡礼路の中で唯一海を見ることのない地域。
サンティアゴ・デ・コンポステーラへと向かう内陸の道を歩きながら、ガリシア地方の農村部ののどかな風景や、ガリシアならではの霧ががった朝に太陽の光が一筋差し込む神秘的な光景を楽しめるカミーノ。
標高が上がるステージでも徐々に高度を上げていくため、急な上り坂や下り坂のハードなステージはありません。サンティアゴ・デ・コンポステーラまでの道のりを存分に味わいながら歩くことができるエリアです。
ダイナミックというよりは、ゆるやかに穏やかに魅せてくれる、ゆったりとした微睡の中にいるような優しく暖かな風景を楽しめるエリアがガリシア地方です。
カミーノ北の道で通過する他のエリアの詳細情報もご覧いただけます。
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