【ポルトガル海岸の道】巡礼記1 Porto-Vila Cha【スペイン巡礼】

スペイン巡礼、通称カミーノのポルトガル海岸の道を歩いた巡礼の記録です。


2019年9月後半に人生初めてのカミーノでポルトガル海岸の道 ( Portugués de la Costa/Portuguese coastal way ) を歩きました。

カミーノは歩く瞑想とも言われるようにスピリチュアル的な要素を感じる人も多いといいます。

わたしもその一人で、カミーノで感じた五感が冴え渡る感覚は今でも忘れられません。

カミーノで得た経験は、ありきたりな言葉ですが人生で経験した最も印象的な出来事のひとつとなりました。


そんなわたしの初めてのカミーノ、ポルトガル海岸の道の巡礼の記録です。


主に歩きながら感じた気づきな内面的なことを、当時の日記をもとに綴っています。





【ポルトガル海岸の道】巡礼記1 Porto-Vila Cha【スペイン巡礼】



出発地:ポルト(ポルトガル)
到着地:サンティアゴ・デ・コンポステーラ
総距離:266km
所要日数:13日間






ポルトガル海岸の道|日程

2019年9月19日〜10月1日の13日間でポルトガル海岸の道を歩きました。


ポルトガル海岸の道の日程

スクロールできます
日付出発地到着地距離巡礼記
1日目PortoVila Cha21.28kmポルトガル
2日目Vila ChaPóvoa de Varzim10.66kmポルトガル
3日目Póvoa de VarzimEsposende20.25kmポルトガル
4日目EsposendeViana do Castelo25.27kmポルトガル
5日目Viana do CasteloCaminha27.30kmポルトガル
6日目CaminhaViladesuso21.10kmスペイン
7日目ViladesusoBaiona14.91kmスペイン
8日目BaionaVigo26.29kmスペイン
9日目VigoRedondela16.39kmスペイン
10日目RedondelaPontevedra19.64kmスペイン
11日目PontevedraCaldas de Reis21.05kmスペイン
12日目Caldas de ReisPadrón19.20kmスペイン
13日目PadrónSantiago de Compostela24.47kmスペイン



上記の日程は、あくまで私が歩いた際の記録です。

何日間で歩くのか、1日に何キロ歩くのかなど、カミーノの日程は全てご自身の自由です。






【ポルトガル海岸の道】1日目 Porto – Vila Cha

朝8時。静かな興奮を感じながらポルトを出発。

誰かがスタートの合図をくれるわけでも、スタート地点に目印があるわけでもなく、マップをもとにスタート地点に行き、ひとり静かに歩き始める。

心の中にはこれからはじまる未知の旅へのわくわくと興味だけ。



歩き始めてしばらくは、心は興奮しつつ、かと言ってやっていることは一人で歩いているだけなので、その興奮の行き場がわからないまま妙なテンションで歩く。

ポルトからは左手にどこかまだ人工的な匂いが残る海を見ながら車道の横を歩く。

日本の田舎町の国道沿いを歩いている感じ。


歩き始めてから数人の巡礼者にすでにあったが、普通に通り越した。

途中止まっている二人組の横を通り過ぎる時、少し緊張しながらHi! と声をかけてみる。

後になると、巡礼者同士での挨拶はしないと聞い持ち悪いくらいになってきたが、
最初は何もかも初めてて挨拶をするかどうかですら心が動く。

ちなみに巡礼者同士の挨拶はポルトガルでは

「Bon Camino!」

ボン・カミーノ!良い巡礼を!という意味。

予備知識ゼロで歩きはじめたわたしは、巡礼者同士で声を掛け合う習慣があることすら知らなかった。



1時間半ほど歩いたところでNevogildeという小さな町を通り過ぎた。

どことなく熱海を思い出させる雰囲気。




ビーチベンチもあったけど9月後半だったので人もまばら。



カミーノはスピリチュアルの道とか瞑想だと言われるが、一日目でも五感が敏感になっていることに気づく。

道路沿いの何気ない街路樹を見ていると、この地面の下にある別世界のイメージが湧いてくる。


堂々と立つ木々のコンクリートの下には、生き生きとした根が張り巡らされていて、うねうねとした根は生きている。人間社会からは見えない木々のヒミツ。地下のワンダーランド。

全ての生命がパワフルに生きている。

足元には土や小さな生命や根や、私たちの知らない彼らの世界があって、水辺には鳥たちの世界がある。

わたしたちの見ている世界は人間という生物のひとつの視点でしかなくて、鳥たちには彼らの視点で見た世界がある。

どちらの世界も真実で、視点の数だけ真実がある。

人間も多くの生き物のひとつでしかなく優れているとか劣っているとかそういうものはない。



地方都市といった感じの町、Matosinhos。

ここで1ユーロのクロワッサンを昼食にカフェで食べたが、歩いているうちにすぐに消費される。

お金に余裕がなかったので、食費はなるべく安くしようとしていたが、歩いているといつもよりエネルギーの消費は当たり前に早く、お腹が空いて食べ物のことばかり考えながら歩いていた。



歩き続けていると小さな村Lavraに到着。

海のすぐそばにある数件のレストランからは香ばしい魚の匂いが漂う。

とても食べたかったけど、初日でペースがわからずとりあえず今日のアルベルゲに着きたかったわたしは、アイスだけ食べてリフレッシュ。



漁村であるこの町は家々がカラフルでとても魅力的だった。



ようやく泊まる予定の町Labrugeに到着。

もうくたくたで、町に着いた喜びよりも早く宿に着きたかった。
目をつけていたアルベルゲは町の中心より少し離れたとこにあって、無心でアルベルゲを目指す。

アルベルゲについてみると、もうベッドが埋まっていないと言われ、スタッフの人が次の町のアルベルゲにベッドの空きがあるか電話してくれた。


空いているとのことで2km先の町Vila Chaまで行くことに。

わたしの名前を伝え、今から一人行くからとベッドの予約までしてくれた。



不思議なことに、あんなに疲れていたのに、なんだか楽しくなって来て体力と気力が戻って来た。

旅の思い通りに事が進まない感じも好きだったりする。



海沿いを歩き続けるとようやく町が見えて来た。

かわいらしい家々に疲れも吹っ飛ぶ。

はじめに泊まる予定だったアルベルゲのある町よりも、こっちの町の方が好みで
この町に泊まれてラッキー!と嬉しくなった。



ついに今日のアルベルゲに到着。

受付してくれたおじいちゃんはポルトガル語しか話せなかったが、慣れた感じで手続きしてくれた。

受付名簿を見るとブラジル、ドイツ、アメリカ、リトアニア、、、たくさんの国の名前が書いてある。

今日一日、ほとんど他の人と話さなかったわたしは、いよいよカミーノが始まったんだなぁなんてわくわくしながら眠りについた。





目的地より大切なモノ

ひとりで丸一日歩き続けていると、たくさんの思考が浮かんでは消えてを繰り返していた。

何度も頭をよぎったのは、

「ゴールしたら〜しよう。」「あそこに行くまで我慢しよう。」


わたしの人生もそんな人生だった。

結果や目的地ばかり気にして、そこに辿り着くまでの過程を生きていただろうか?

結果ばかりに目がいって、そこに辿り着くまでに見える景色をよく見ていなかった気がする。

目的地や結果は、今の積み重ねで現れる状態で、そこばかり見ていたら、今しか生きられないわたしたちなのに唯一感じられる今この瞬間に心がない気がした。

暑いからコートを脱ぐ、喉が渇いたから水を飲む。

それくらい簡単に今この瞬間の感覚に素直になりたい。

目的地はただの目印で、そこに到着することよりも、
そこに辿り着くまでに見える景色を感覚を大事にしたい。



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