【ポルトガル海岸の道】巡礼記2 Vila Cha-Povoa de Varzim【スペイン巡礼】

スペイン巡礼、通称カミーノのポルトガル海岸の道を歩いた巡礼の記録です。


２０１９年９月後半に人生初めてのカミーノでポルトガル海岸の道を歩きました。

カミーノは歩く瞑想とも言われるように、スピリチュアル的な要素を感じる人も多いといいます。

わたしもその一人で、カミーノで感じた五感が冴え渡る感覚は今でも忘れられません。

カミーノで得た経験は、ありきたりな言葉ですが人生で経験した最も印象的な出来事のひとつとなりました。


そんなわたしの初めてのカミーノ、ポルトガル海岸の道の巡礼の記録です。


主に歩きながら感じた気づきな内面的なことを、当時の日記をもとに綴っています。

【ポルトガル海岸の道】巡礼記2 Vila Cha-Povoa de Varzim【スペイン巡礼】

出発地：ポルト（ポルトガル）
到着地：サンティアゴ・デ・コンポステーラ
総距離：２６６km
所要日数：１３日間

ポルトガル海岸の道｜日程

２０１９年９月１９日〜１０月１日の１３日間でポルトガル海岸の道を歩きました。

ポルトガル海岸の道の日程

>> 【ポルトガル海岸の道】巡礼記1 Porto-Vila Chaはこちら

上記の日程は、あくまで私が歩いた際の記録です。

何日間で歩くのか、１日に何キロ歩くのかなど、カミーノの日程は全てご自身の自由です。

【ポルトガル海岸の道】2日目 Vila Cha – Povoa de Varzim

朝７時半、アルベルゲを出発。

落ち着いているような、わくわくしているような、少し焦っているような感覚。
すっきりしていて、すがすがしい感覚。

夜死んで朝再生する。そんな感覚。

出発する前に朝食のリンゴを食べながら他の巡礼者をぼーっと見ていた。
庭の丸テーブルとベンチに座っているグループは豪華な朝食とコーヒーをゆっくりと楽しんでいた。

手際よく準備をして足早に出て行く人も多かった。

７時半出発は遅い方で、その時アルベルゲに残っている人は多くはなかった。

慣れない手つきで靴紐を結んでいると母と娘の二人組がすれ違いざまにニコッと笑って
Bon Camino!

と声をかけてくれた。

巡礼者の間で「良いカミーノを！」と声を掛け合う習慣があることすら知らず、
その挨拶はバンビーノ！と聞こえた。

なんのことかはわからなかったわたしはポカーンとしていた。

それからしばらくして、みんなが同じ言葉を掛け合っていることに気づき、その意味を知り、自分も使うようになった。

飼い犬がなぜかドーベルマンばかりだったVila Chaの町を出ると、昨日と同じく海沿いに出た。

今日は曇り。

左を見れば海、右を見れば緑と赤のコントラストが美しい地帯があった。

海は少し荒れていて、波を見ていると大きく黒い並みに飲み込まれような怖さがあった。

それでも一定間隔で聞こえる波の音は不思議と落ち着く音だった。

見渡す限り一面何もない地帯にポツンとテントが張られていた。

しばらく歩くと今日最初の大きな町 Vila do Conde に着いた。

大航海時代に繁栄し、造船で重要な役割を果たした町だ。

ここまで少しだけ一緒に歩いてきたおじさんはこの町を少し見て行くと言ってここで別れた。

外観が精巧な教会に入ってみると中は金色の装飾で埋め尽くされていた。

美しい厳かな装飾の中で熱心に祈る人々の姿が印象的だった。

思いがこの精妙な教会を作り、そこに人々の思いが宿る。

巡礼では石造りの町だけではなく、コンクリートの車道やいわゆる普通の道も通る。

そんな街中でのわたしの楽しみはポルトガルらしいタイルの家だった。

家々によって異なるタイルがなんとも楽しい。

そして誰かが書いたグラフィックも楽しみの一つだった。

今日は１０kmほど歩いた町 Povoa de Varzimで泊まることにした。

お昼前にアルベルゲに着くと受付前だったので荷物を置かせてもらい町を観光することにした。

ここのアルベルゲはドネーション式。

Albergue de Peregrinos São José de Ribamar
住所：Av. Mouzinho de Albuquerque 32, 4490-440 Póvoa de Varzim, Portugal

Povoa de Varzim はカジノもあるビーチリゾートだ。

水平線に沈む夕日を見ようと夕暮れ時にビーチに行ってみると言葉を失った。

ピンクになったりメタリックになったり玉虫色のように色を変える太陽へとつ続く道。

水平線の向こう側に全く別の世界があった。

空はまるで桃源郷のように見えた。

平穏で安らぎに満ちた光の世界が空に見えた。

カミーノの道は歩く瞑想と言われたりスピリチュアルな道と言われている。

その言葉どおり、意識状態がクリアになっていたのかもしれないし、カミーノを始める前に体験したサイケデリックの余韻だったのかもしれない。

それでも、目の前に広がる神の世界のようなその場所は、もう自分が死んだんじゃないかと思えるほど美しく平和な世界で、生きているうちに見ていい世界なのかとすら感じた。

自分が見ているものは全て意識の投影だから、自分の意識状態が軽いところにいたのかもしれない。

今感じている全てに感謝が溢れてきて、しばらく涙が止まらなかった。

夕日が沈んだ後も一瞬ごとに姿を変えるその空に釘付けになって、しばらく動くことができなかった。



>> ポルトガル海岸の道巡礼記３はこちら

>> ポルトガル海岸の道巡礼記一覧はこちら